神楽坂通りにある広島のお好み焼屋。店の前では野菜の販売もしており、一見するとお好み焼屋には見えない。店内は入り口から奥の方へと長い鉄板が設置されて、その前にカウンター席がたくさん設けられている。他にテーブル席もある。
焼き方は少し変わっている。まず生地をひくが、それとは別に鉄板へ直接キャベツを盛り、もやし、塩、天かす、豚バラと重ねていく。そうして別の場所に油を垂らしてそこにひっくり返して蒸し器をかぶせる。そのまましばらく焼いた後、蒸し器を外してから初めて生地を本体に乗せる。そこからはオーソドックスな焼き方になる。ソースはミツワ。麺は生麺で東京の製麺所。唐辛子麺については広島から仕入れてるとのこと。どこのメーカーかは不明。鉄板で食べる時も切り込みを入れてくれるので、必要ない場合は予め伝える必要あり。
日曜の夕方。お店を探して歩いていたが見つからない。何度かそれらしき場所を往復するが、お好み焼屋なんてどこにもない。これはもうダメかなと思い、先ほどから気になっていた八百屋で野菜でも買って帰ろうかなと覗いてみると、何かが変。おかしいなと目線を上げた先に「くるみ」の看板が見えた。八百屋だと思っていたお店が、実はお好み焼屋だったのだ。
気を取り直して、暖簾をくぐる。店内は広く縦に長い。鉄板の向こうでは女性と男性が勢いよく動き回っている。私の姿を見つけると、どうぞと指し示してくれたので、鉄板前のカウンターに座ってみた。すかさず注文は肉玉そば。焼き手の女性は忙しくしているものの、優しく接してくれる。
お好み焼の焼き方は少し変わっていて、生地を被せる代わりに、金物の蒸し器を被せる。広島では生地の上から蒸し器を被せるところは多いが、ここでは生地なしの状態で蒸し器を被せる。これだと生地そのものが必要ない気もするけど、後から生地も合体させるのが面白いな。
お好み焼はキャベツを細切りにしているのと、蒸し器を使うことによって、焼き時間が短い。早い時間帯でもお客さんが多いし、効率的に焼く手法として編み出したんでしょうね。
焼き上がったお好み焼は少し平べったい見た目。食べ口はあっさりとしていて、広島の繁華街によくある、飲んだ後に〆で食べるお好み焼に近い印象。そうして満足してお店をあとにする。野菜のことはすっかり忘れて、買い逃してしまった。