先輩とモバイル鉄板
モバイル鉄板とは、持ち運びできる小さな鉄板のことである。これを使うことによって、鉄板のないテーブル上でも、鉄板でお好み焼を食べることができる。昔、仲の良かった先輩といつも一緒にランチへ行っていた。ある日、とあるお好み焼屋でこのタイプの鉄板と出会い、その先輩が嬉々としてこう名付けたのだ。一般的に使われている名称ではないのでご注意を。
モバイルというと、外出先でもネットに繋げて自由に情報機器を操作するイメージがある。先輩が鉄板にモバイルと名付けたのは、このモバイル鉄板を携帯し、外出先でも自由にお好み焼を食べたいとの思いがあったのかもしれない。その証拠に、どこで買えるのかお店の主人に尋ねていた。
もし、街中でカバンの中からおもむろに鉄板を取り出し、お好み焼を食べている人を見かけたら「素敵なモバイル鉄板ですね」と声をかけてあげて欲しい。きっと喜ぶはずだ。
モバイル鉄板のタイプ
モバイル鉄板には大きく分けて2種類の形状がある。ひとつは縁ありタイプ。鉄板というより、丸い鉄皿と言ったほうが良いかもしれない。量産品で、専門の調理器具店に行けば簡単に手に入る。しかし、ヘラで食べようとしたとき、この縁が邪魔になってとても食べにくい。
もうひとつはフラットタイプ。丸型や四角型など形状はさまざまだが、縁がないので、ヘラを使って食べるときに邪魔になるものがない。とても便利だけど、一般で売られているのを見かけたことはない。これを置いているお店のほとんどが、特注して作ってもらっている。
狭義ではフラットタイプのみをモバイル鉄板と呼ぶ。広義では縁ありタイプも含める。先程の先輩は、頑なにフラットタイプにこだわっていた。