クラフトビールとお好み焼の店。ビールはベアードビールを専門に取り扱っており、店内の冷蔵ケースには瓶のベアードビールが敷き詰められている。タップも3本用意されており、その内容は日替わりになる。
お好み焼は、広島市のスタンダードなお好み焼の他に、尾道の砂ずり入りや、三次唐麺焼など多彩な地域のものを用意している。お好み焼の材料はタッパに入れて冷蔵保存され、そのつどトングなどを用いて取り出している。とても清潔感がある。
特徴としては、紅生姜をお好み焼の上に乗せるのではなく、中に入れている。広島でも地域によってよく見られる使い方だが、これは独自に考案したとのこと。また、お好み焼を押さえずに焼くのも、広島で同様の焼き方をする店を真似たのではなく、独自のアイデアとのこと。どちらも東京の人たちの好みを反映して考え出したらしい。この地に順応しつつ、本場広島のお好み焼らしさも併せ持っている。
冬のある暖かい日。ふと辛いお好み焼きが食べたくなったので、三次唐麺焼を食べに行ってみた。三次唐麺焼とは、広島県三次市のご当地お好み焼で、三次市内にある江草商店の唐辛子を練り込んだ麺と、毛利醸造のカープソース辛口を使用したお好み焼になる。品川区に広島のお好み焼とベアードビールに特化したお店があり、ここで三次唐麺焼を食べることができるのだ。
少し遠いようだったけれど、目黒駅で降りて歩いてみることにした。遠回りをして北側の目黒新橋を渡り、やがて店へと通じる一本道へと入る。その道をしばらく歩いていると、遥か向こうにオタフクの幟が見えてきた。広島に住んでいた頃は、車で走っていてもこの幟が少しでも視界に入ると反応していたっけ。
幟のそばまで歩いてくると、店外にはメニューの看板が並び、お好み焼屋であることは一目瞭然。ビールの方は少し控えめ。逆に、店内へ入ると冷蔵ケースにビールが並び、いくらでも飲めますよとアピールしている。一通り眺めた後、窓際のカウンターに腰掛け、注文はもちろん三次唐麺焼。ビールも一杯つけてみた。
鉄板は厨房の奥に設置されており、焼く姿はあまり見えない。主人の話では、押さえずに焼くのが特徴。また、お好み焼の中に紅生姜を入れるのはこのお店のオリジナル。どちらも東京の人たちの好みを反映したとのこと。この地に順応しつつ、本場広島のお好み焼らしさも併せ持っている。
やがてお好み焼が焼き上がり、縁ありのモバイル鉄板で運ばれてきた。ほどよい赤さの唐麺に、辛口のカープソース。窓から差し込む日差しは、赤いテントに反射して、辛そうなお好み焼をさらに赤く照らしている。でも、食べてみるとそんなに辛くはない。ほど良い辛さで食欲が進む。たまに現れてくる紅生姜が程よいアクセントになって、新鮮味を感じた。確かに、広島では紅生姜が乗せられることはあっても、中に入るのを見かけたことはないなぁ。