神田駅近くにあるお好み焼屋。広島の堺町にある「カープ」の支店になる。店内は厨房を囲むように鉄板席が大きなコの字を描き、テーブル席はない。家族経営で、お父さんとお母さんは阿吽の呼吸、絶妙なコンビネーション。
お好み焼は、スタンダードな焼き方。少しとろみのある生地で、中に刻みネギやとろろ昆布が入る。そばは生麺。東京の製麺所のもの。茹で上がったらザルで湯切りしてから鉄板で調理する。ソースはミツワ。仕上げに青のりを降りかける。
かつて広島市内には「カープ」と名のつくお店がふたつあった。1店は新天地のお好み村にあり、もう1店はもう少し西へ行き、原爆ドームの更に向こうの堺町にある。もともとはお好み村に店を構えていた女将さんが、堺町に新しい店舗を出し、お好み村の店舗は妹さんに任せたとのこと。お好み村のお店はコロナ禍の少し前に閉めたが、堺町店は健在だ。
カープ東京支店は本店のお兄さんになる。先にお兄さんの奥さんが数年本店を手伝い、やがてお兄さん夫婦で東京支店を立ち上げた。お兄さんは「そのうち広島へ帰るじゃろうと思っとったのに、いついてしもうた」のようなことを言っていた。
その東京支店は、まさに飲み屋街のお好み焼王道スタイル。そのまま広島の流川のど真ん中に持ってきても、違和感なくふらりと暖簾をくぐり、ビールとお好み焼を注文し「おじちゃん、やっぱり飲みに出たらここのお好み焼で締めんと、よう帰れんわ」などと客に言わしめること間違いなしの太鼓判である。