飯田橋にあるお好み焼屋。元は「れもん屋」と名乗っていたが、移転に合わせて店名も変更した。店内に入ると左手に大きな鉄板があり、そのカウンターが10席。反対側にテーブルが4席×3、2席×1。
お好み焼はとてもオーソドックスな焼き方。昆布粉をつかったり、具を重ねた最後につなぎの生地を垂らしたりと、広島市でも郊外で小母ちゃんが焼いているお好み焼の印象。あと、そばはあらかじめ大量に焼いてボウルに取り置きしている。うどんは焼いてないものの同じようにボウルに盛っている。それを適量とり出して鉄板で温める。そばは蒸し麺で東京の製麺所。ソースはオタフク。
とある休日。今日は早めに夕飯を済ませておかなければならない。お休みの日は通しでやっているとの情報をもとにお好み焼を食べに来てみた。
地下鉄から地上に登ると、冷たい風に思わず身を縮ませる。もう夏の気配は去り、秋が満ちている。でも、歩き始めると、その風も心地よい。私はのんびりと寄り道も楽しみながらお店へと向かう。お店に着くころには体が温まっていた。店内に入ると鉄板席に案内され、とりあえずビール。そして肉玉そば。
店内を見渡すと、大きな鉄板にはカウンター席。その周りにテーブル席が散らばり、カープグッズもふんだんに飾られている。広島ではよく見かける一般的な配置。その光景を肴にして、乾いた体にビールを染み込ませ、二杯目のビールを注文するころ、お好み焼が焼き上がる。ソースがたっぷりで少し崩れ気味の姿は、郊外によくある、いわゆるご近所のお好み焼を彷彿させる。聞くところによると、もともとのオーナーは広島の大野出身で、その方から習ったとのこと。きっと、そのオーナーは大野の町で近所の小母ちゃんが焼くお好み焼を見て焼き方を覚えたのでしょう。広島のお好み焼って、そうやって受け継がれて来たものが多い。そして、それがこの東京でも受け継がれているんだね。