京王線仙川駅で降り、人通りの多い駅前を抜け北へと進む。段々と飲食店も少なくなり、郊外の生活道路といった風景へと変わってく。果たして、この先にお店などあるのだろうかと不安になったころ、視界にお好みソースの幟が入ってきた。福王ソースだ!
別に急ぐ必要もないのに、自然と早足になる。福山市生れの福王ソースは、地元の二井岡商店が製造していたが、現在はカープソースの毛利醸造に製造を委託している。みっちゃん仙川本店を事前に調べた情報では、お店で使われているのはカープソースだし、店主は広島の三原市出身で、修行元は福山市のお好み焼店。確かに要件は揃っているが、まさか東京で福王ソースの幟を拝めるとは思ってもいなかった。
ひとしきり幟を眺めたあと、店内へと入る。少し遅めの時間だったけれど、客は多く、カウンター前の特等席もいっぱいだ。でも、奥のテーブル席が空いているとのこと。注文はチケット制との説明を受け、入り口近くの発券機でモダン焼を購入。「モダン」の表現が三原だね。
合わせてビールも購入して奥のテーブル席へ腰掛ける。手持ち無沙汰なので、飲みならがメニュー表を眺めていると、お好み焼にニンジンが入るとのこと。ここにも三原らしさが表れている。そうしていると、店主がこれでも食べといてと干し肉らしいものを出してくれた。自家製のせんじがらだろうか。少しウエットな仕上がりでビールによく合う。
お好み焼は、少し時間がかかっての登場。カープソースの皿に乗せられ、ボリュームはまあまあ。早速食べ進むと、胡椒の風味が強い。黒コショウかな。広島のお好み焼には珍しいな。ソースはカープをベースに福王をブレンドしている。店主によると、最近は広島のお好み焼を出す店が増えてきて、差別化を図るため、備後に寄せているとのこと。さらには、幻のびふとんソースまで用意しているとか。いや、ほんと、三原だね。