西荻窪に「カンラン」というお好み焼屋があるらしい。もちろん広島のお好み焼のお店だ。「カンラン」という名は、広島にいるとよく耳にする。キャベツの和名が「甘藍」で、お好み焼にはキャベツが欠かせないことから、店名にこの名を拝借するお店が多い。おそらく、ここの店主もそこから名付けたのだのだろう。
西荻窪駅から南へ歩き、十数分のところにお店はあった。交差点の角地に位置し、結構大きめの店舗。でかでかと掲げられた「カンラン」の文字が目立っている。
店に入ると中も広い。焼き場を囲むように鉄板席が並び、若いグループ、家族連れ、カップルなどと客層は幅広く、活気がある。店主の奥さんだろうか、ちゃきちゃきっと私の席を用意してくれて、鉄板前の特等席をつくろってくれる。鉄板前ではご主人が忙しそうにヘラを操っている。いい感じのお店ですね。
まずはレモンハイ。ジョッキサイズがおすすめとのことなので、それにする。あと、お好み焼の前に軽いアテもいただきましょう。牛すじポン酢を注文。お好み焼はシンプルに肉玉そば。
主人は、お好み焼を注文するのが早いか、生地を鉄板に落とすほうが早いかといった素早さでお好み焼を焼きはじめる。すると間も無く牛すじポン酢が運ばれてきた。これは広島でよく見かけるタイプ。広島を謳うお好み焼屋でも、どこか違和感のある牛すじポン酢がであることが多いが、これはまさに広島のお好み焼屋で出してくれるヤツじゃないですか。ついレモンハイを飲むペースが上がる。
そうやって、牛すじポン酢に心奪われている間も私のお好み焼は焼かれていく。いつの間にか麺を茹で始めている。茹でた麺を手際よく成形し、しっかりと焼きを入れた後、お好み焼本体と合体。最後にソースを塗り、私のもとへと滑らしてくる。おぉ、これはまさしく薬研堀八昌。話によると、元は広島の有名なイタリアンで働いていたが、そこを辞めて、お好み焼の世界へと足を踏み込んだとのこと。薬研堀八昌で数年修業し、自分のお店をオープンさせた。なぜ、東京へと尋ねてみたけど、はぐらかされた。でも、この地でもう10年近くされており、固定客をつかんでいる。ありがたいことです。