夕暮れ時、人や路面電車が行き交う交差点から路地裏に入ると、一気に人気が少なくなった。その路地裏を進み、更に小さな側道へ入ったところで店の看板が見える。人通りは少ない、やはりコロナ禍の影響だろうか。お店へ入ると、先客はなく、主人がポツリと立って迎えてくれる。奥には女性もいるようだが、ご家族ではなさそうな感じ。鉄板席を希望し、端っこにちょこんと座らせてもらった。
ひとまずビール。お好み焼屋に入ってビールを頼める幸せを噛み締めてみる。合わせて、アテになりそうな「イカ天ねぎばさみ」を注文。イカ天を鉄板で焼き、二つ折りにしてネギを挟んだものだ。ミツワソースとマヨネーズが添えられている。そう、ミツワソース。店主のエプロンは毛利醸造のカープソースで、お好み焼に使われているのもカープソース。でも、用途によってソースを使い分けているとのこと。
さて、お好み焼も注文。イカ天は食べたので、シンプルに肉玉そば。粘り気の強い生地に、大きめに刻まれたキャベツ。そして使用する麺は、浅草開花楼の特注麺。広島の薬研堀八昌で学んでからも試行錯誤を続けて、独自のお好み焼へと変化させているとのこと。ちなみに、昔はいその製麺を使用していた。
焼き上がったお好み焼は、薬研堀八昌と似て非なる。生地の存在感が強く、麺が暴れるように仕上がっている。食べてみると、時間をかけて焼いたおかげでキャベツの甘味がしっかりと出てきている。卵は黄身を潰してないので、ヘラで切り分けるとトロリと流れ出してくる。ソースはカープソースだが、希望すればミツワソースも可能とのこと。