小田急線経堂駅から少し歩いたところに店はあった。ビルの2階に位置し、面した通りから見上げると「東京にも広島の味がある」のメッセージが目に入る。メッセージの横には「八昌」のロゴが印され、ここが広島のお好み焼の店「八昌」であることは明らかだ。

　階段で2階に上がり、扉を開けると、まず横に長く伸びた鉄板が目に入る。その鉄板が途切れた奥の方にいつくかのテーブル席が設けられている。店内を眺めていると、鉄板前の端っこに座るよう促されたので、そこにちょこんと座る。やった、特等席じゃないですか。

　遅い時間だったので、酒のアテには寄り道せずいきなりお好み焼を注文。肉玉そばイカ天入り。店主は手際よくキャベツを刻み、鉄板上に特徴的な楕円の生地を描く。大きめに刻んだキャベツ、もやし、天かす、豚バラと乗せ、最後につなぎの生地をかけて、そのまましばらく焼いてひっくり返し、そこからまたしばらく焼く。そして、おもむろに生麺の準備へと入る。こうやってじっくり焼くのが薬研堀八昌らしくていいね。

　生麺が茹だったら鉄板で焼き上げて本体と合体。ニ黄卵を鉄板にかちわり黄身は潰さずそのまま本体を乗せる。すぐにひっくり返し、ソースと調味料で仕上げる。そうして、私の手元へと滑らせてきたお好み焼は、平べったく、そばはカリッと、卵は半熟。これは間違いのない、薬研堀八昌直系のお好み焼。話によると、店主が薬研堀八昌で修行していたのは約20年ほど前。その後、ここ経堂に店を構え十数年。すでに何人かの弟子を育てているとのこと。これはお弟子さんのお店も回ってみんといけんね！